『社内転職制度』のすゝめ

今日は本気だ。本気で書く。

 

これから以下に提案するのは

とある人事制度だが、

「あればいいな」ということで思い描き勝手に書いてみたものであり自分は人事制度において一切の勉強もしていないし、以下文はどこかの会社の人事制度に影響を受けたものでもなく完全オリジナル。


現実に「課題に対するソリューション」としてもっと優れた人事制度を当たり前のように運用している会社もあれば、この提案が現実に即さない致命的な課題を見落としているケースもあるだろう。

重々承知で以下文のクオリティに責任を持つものでもないことを前提に投稿する。

 


昨今、どの企業においても

 

・人材の流失を抑えたい

 

・できれば適材適所に人資源を戦略的かつ柔軟に移動させ、従業員自体のスキルアップを計るようなことはしたいができていない

 

・結果として戦力になる可能性のある人材を塩漬けにしているかもしれない

 

事業の戦略上比較的重要なポストに緊急で「経験者」が必要なのに選択肢が新規で中途採用しかない


これら問題が生じていることだろう。


特に痛手なのは
自社に「自分が活躍できるはずの魅力的なポスト」が実は存在するのにそれを知らず、自身のステップアップ、スキルアップのため社外にその活躍の場所を求め「退社」という選択をするポテンシャルのある若手が多いことだろう。

 

実際、理由は何であれ会社を見限って辞める選択肢をする人間も本当に会社の可能性キャパシティを正確に見極めて判断できたのであろうか?

 

『まだ社内で自身をアップさせる場所があったかもしれない』
『自身を必要としてくれる場所があったかもしれない』のに
それも知らず外部に可能性を賭ける選択肢をとるのだろう。

 

流出、流出といっても案外、人は転職しない。
周りを見ても緩く転職活動をしながら仕事をしていて自身が踏ん切りつくタイミングを待っていたりする。おそらくは、もうその時点で心ここにあらずで本来持つパフォーマンスの半分も出してないだろう。


その時点で大きな損失であるのは間違いない。


実際、正当な評価を得られず、持ち前の能力を発揮するキッカケを得られずに、発揮するためのアドバイスも得られず塩漬けになっている優秀な人材はたくさんいるだろう。


ある者は自分の特性とは合わない仕事に従事していたり
ある者は上司とそりが合わないため埋もれていたり


他社の話だが化け物みたいに優秀なのに糞な上司にあたり正当な評価を得られず埋もれてしまっている人を知っている。(本人も環境を変えようとする欲がないのは問題だが…)

 

実際優秀な人であっても能力を発揮するには働く人との相性が大前提だ。
最悪な相性の上司についたら即GAME OVERだ。


そんな者は転職という選択肢を検討するだろうが多くはその前段階で「部署移動(社内転職)ができないかな…」と心のうちに抱くものだ。

 

「今後のスキル成長を考えると、あの部署で◯◯の仕事したいんだよなぁ」
「◯◯さんと働いたら楽しそうだよなぁ」

意外とよく耳にする話だ。

 

だがなかなかそのようなことが許される組織は少ない。

 

『特性の合うポストに着けば従来の倍の働きをする者』
『一緒に働く者が違えば、化けて見違えるパフォーマンスを発揮する者』

人材開発の視点からも非常に勿体ない配置が実際、世の中で行われている。

 

これから提案するのは簡単に言えば

特定の技能または特性またはマインドセットを持った人材が欲しい部署と自身の能力を発揮する相応しい部署を求める人材との社内マッチングシステムだ。


・人材流出はある一方で、採用が上手くない会社


・管理職以下の従業員で今の従事する仕事内容/得られるスキル的バリュー/所属組織自体に問題意識があり、モチベーションを崩し転職活動という選択肢を考えている人間

 

彼らだけに留まらずその他副次的なメリットが見込める。


(※おそらく当仕組みが成り立つ前提に会社規模的な条件の限定がある) 

 

■仕組みについて

最初に、とある部署/事業部/チームで人材が必要なポストが発生する。

 

人材を採りたい部署/事業部/チームは4半期ごとに求める人材像を「明文化」して、従業員全体の目のつく特定の決まった場所へ表明する。

 

その内容は採りたい像の

・必要とされる最低限のスキル
・求めるマインドセット
・ポストの仕事内容
・そのポストで求められるミッション
・身に着くスキルとその先のキャリア展開の可能性
・評価の軸
など

これらを明文化し、そんな人材を受け入れる「意気込みが伝わる表現方法」で表明していいとする。気合によってはポスターなどを用意してもいい


募集者の「待遇」について個別に要相談とする。


それを見て、
『自身のスキルアップ、キャリアアップに問題意識を持っていた従業員』や『従事する業務に退屈を感じていた従業員』が誰でもエントリーできることとする。


求めるのは
「やる気があり」
「仕事内容にも理解があり」
「マインドセットも求められるミッションも伝え手が言わんとすることが理解できる」

そんな人材な訳で、

 

それなら当然のこと博打的な中途入社採用の社員より、既に同じ会社で働く従業員であるほうが遥かに適応スピードも早く合理的だ。遥かにイメージに近い人材に近づける。


人間など気持ち次第でパフォーマンスは倍は異なるのだから、本人がやりたいことを主体的に選ばせやらせることは当事者意識を強め即パフォーマンスへと繋がる話だ。

 

ルールとして、
そのエントリー受付期間に申し込んだ者が、その者のみで合った場合、事業部側はよっぽど条件にそぐわない確固たる根拠が示せない限り、受け入れることを基本とする。

 

また、募集人数に対して希望者が多かった場合には面接を通して採る者を決めてよいこととする。尚、社内転職希望者についてエントリーは一度に複数の募集に申し込んでよいものとする。

 

もちろん、募集するポストを表明しても希望者が現れないこともよくある。

そもそもそれは

「働きたいと思えない魅力的なチームを運営できていない」

 

「そこで働く従業員にとって価値あるスキルをつかせる仕事をさせてない」
(実業務はつまらない事務作業でもそのチーム/部署/事業部のビジョンの伝え方次第だったりするわけでプレゼン力不足が主な原因)

 

「求める人材について本音は人手が欲しいだけでその人の将来的なキャリアアップやスキルアップまでは考え至っておらず無責任であったり」

 

数え上げれば要素はキリがないが、それらはマネージャーの責任であり改めて今後に活かすべき反省点を教えてくれるだろう。

 

この制度自体、結果がハッキリ現れるため従来からのマネージャーの考え方を変えることになる。マネージャーに留まらず各従業員も「見られ方」を日頃から意識することにもなる。

 

実は、この制度で「自ら手を挙げ移動する」人は多くないだろうと予測する。

 

真の狙いは
正面から堂々と「社内スカウト」できるようになることだと考える。
またそれが許容される雰囲気を作れることだ。


そもそも社内スカウトができるとしたらそれは、組織としてその行為を「是」と公認し、公正なルールに基づき運用/開示されている必要がある。


そうでなければ当然のこととして
不平等さを生み、管理職での利害不一致による権力闘争を招かざるを得ない。
秩序は崩れ無茶苦茶なことになるだろう。


実際に、

「自分のチームを特定の高い目標までどうしても押し上げたい」

「今どうしてもチームにドライブをかけたい」

という意欲の高いマネージャーがいたとすれば「アイツが欲しい」というのは人間は社内に2、3名はいるものだ。


誘う側は情熱を持ってスカウトし、
誘われる側も「そこまで必要としてくれるなら」と呼応したなら
双方にとって非常にいい信頼関係の元、新たないい仕事ができるだろう。


もちろん抜かれた側のチームにとってはたまったもんじゃない。

このようにこの制度には当然幾つかのマイナスの面も生じることとなる。


そもそもこの制度の大前提として、根底にある価値観を運用する組織全体で認める必要がある。

 

本人の意思を尊重することである。


仕事が順調で今自分の能力を発揮できている人間は別のところから声かけられても当然なびかないし、手を挙げない。

そもそも社内移動に手を挙げる、スカウトに呼応する時点で何かしら内に問題を抱え「転職する」選択肢を考えていた可能性が高い。


合わないという自己認識を持った者をそこに縛り付け塩漬けにしてしまうことは双方にとって非生産的な話である。

 

辞めてライバル企業に行くくらいなら、自身の主体的な意思で社内で新たなチャレンジをするリセットして環境を変えるという選択肢をとってくれたほうが企業には利益があるのは当然のことだ。

 

何か特定のポジティブな狙いあって行う転職でないのなら、ギャンブル性が高くリセットして再度一から組み立ていかなくてはいけない転職より本人にとってもいいだろう。


「本人が何をしたいか」が一番重要であるということを根底にそれを尊重し運用を行う必要がある。抜かれる側のマネージャーはスカウトを咎める権利も、強引に引き止める権利も有してはいけない。

 

個人の意思を尊重する。

従業員はチーム/部署/事業部の固有資産であるという考え方では成り立たない。


とりあえず人の抜けた側のチーム/部署/事業部には痛みはつきものだ、不可避。

だが受け入れて速やかに引き継ぎ業務に全面協力し努力すれば、何とかなる。

 

前提として人材募集希望を出したチーム/部署/事業部への異動完了を、募集表明から長くて3ヶ月以内に済ませる必要がある。絶対にだ。それ以上かかると募集表明時と状況が変わるからだ。

 

人材がスピーディーにキャッチアップして新環境に適応できることが社内転職制度のメリットであるがその旨味も減るし、移動に時間がかかれば成長部署や新規事業などだと外部や内部環境の変化だったり色々と募集表明時と状況が変わる可能性がある。

 

おっと待て待て、この時点で幾つか問題が生じる。

・そのチームから一度に複数名のメンバーが抜ける話になったらどうするか?
・超重要部署であった場合どうするか?

 

たとえこの場合であっても仕組みでカバーできるだろう。
確かに、その短期間で引き継ぎを完了させるとなると1名の移動が限界だからそこはルールへ組み込んで運用すればよい。

 

抜けられたチーム/部署/事業部はその穴を埋め合わすには中途採用募集」がメインの選択肢になるだろう。

「インターバル」「一度での移動可能人数」など制約ルールをもてば中途採用募集で間に合わせるのは不可能ではないはずだ。


当然、チーム/部署/事業部は今まで以上にメンバーに抜けられる危険性に晒される訳だから今までのように適当なことはできなくなり、「意識」するようになり、抜けられないようなケアや従業員の今後のキャリアアップ、スキルアップに真剣に考えなくてはいけないだろう。

 

もう一つ問題がある。

移動者の人事考課だ。

正直これが一番ヘビーだろう。


通常その人の評価や給与など待遇は、

その評価期間中のパフォーマンスのみに規定されず過去の貢献、積み重ねてきた実績など諸々複合的に評価されるものである。

 

通常では、特定の上司が長い期間その人の能力を把握し、過去の実績を見届け、人事権を持つ更に上の上司への代弁者となり、彼または彼女がいかに優秀で我が社にとって必要な人材であるかを訴える。

そのために過去積み重ねてきた実績や過去の貢献ひっくるめて上へ伝わり、適正な評価が下される。

 

上司がコロコロ変わるということは、その人物の過去の頑張りや実績、評価など都度水に流れリセットされ積み上げてきたキャリアの一貫性は失われる。冗談じゃなく本当の話だ。

 

通常は、その従業員の上司にあたる人間が、当人の適性や能力を鑑みて、今後のキャリアや経験をどう積ませるか考え計画的に采配しと、その上司の存在自体がその者のキャリアの一貫性を証明する唯一の証明手段になるケースも多い。

 

自分の手から離れるのであれば、と利害関係が一切なくなった途端に適正に評価をしなくなる前任の上司もいるだろう。


ここをいかに、その移動する者の積み重ねてきたキャリアの一貫性を失わせずに適正に評価してあげられるかそこがこの制度を仮に運用した場合の最大の課題になると考える。

 

以上だ。