ビジネスにおける『頭がいい』ということ

 今回はビジネスシーンにおける

『頭の良さ』とは何か

を考えてみるというテーマです。

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なかなか畏れ多いテーマです。

IQや学力といったものでは言い表せるものでもありません。 

そしてハッキリと要素分解できている人は上のレイヤーの人間にも少ない印象です。


自身もいい歳になり、社会人になってからそれなりの人の数に接し、頭のいい/頭の悪い、上司、同僚、後輩、色々とデータを貯め冷静に分析し、そして自分自身も省みて定性的に個人的解釈をまとめてみたという内容です。 

引用なし、経験から出た自分の解釈です。

 

「頭のよさ」にもいっぱい種類はあります。

対人における自身の立ち位置を相対的に客観視して、身の振り方を合理的にコントロールできるとか、"対人状況判断能力"とでもいうのか、そういう生き上手なのもある種の頭の良さとも言えるし、「記憶力」なんてもあります。

確かにビジネスシーンにおいてこれらは有効です。たしかに重要ではあるものの飛び抜けたビジネスマンになるためには必須と思ってません。

一般的に「頭の良さ」というと
これを指す言葉として

『頭の回転が速い』などという表現が用いられます。

・理解のスピードが速いとか
・その場で的確に返答ができるとか(機転が効く)
・瞬間的な状況判断力とか

筋肉でいえば『瞬発力』のイメージです。

入ってきた情報に対して
立体的に整理整頓したり、
比較・分析して推察する
そんな能力。

クイズに強いとか、クロスパズルが得意とか、こちらの能力に属すものかと思います。

基本処理能力

地頭の良さ、

メモリキャパが大きいとか
いわゆる素質としてスペックの高い人ですね。

先天的なモノでなかなか努力で解決しません。

こんな人は器用なので、どこでも必要とされ活躍ができます。

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高学歴だとこんな人が一定割合います。学術定義だと「形式的操作能力」というようです。 

ここが優れてると一般の人も「この人頭のいい人だ!」とすぐ分かります。

 

いつでも情報に溢れ複雑怪奇で答えのないビジネスシーンにおいてはもう一つ、

「頭の回転」と同じかそれ以上に重要な要素があります。「抽象化」です。

ここが弱いと「頭の回転が速い」人もただの要領のいいだけのビジネスマンになる可能性が高いです。

■物事をシンプルに捉えられる人

■常識に縛られない創造的かつ有効なアイディアに溢れている人

■難しい提案や入り組んだ問題を解決する、交渉力など突破力のある人

■説明が分かり易い人

このような能力は抽象化の能力が根源にあります。

「抽象化」の能力は先天的頭の良さ(センス?)が半分、後天的な努力が半分と考えています。そして「頭の回転」と違いこの素質は周りには気付かれづらいです。


抽象化能力とは、

「要点を読み解く力(=本質を見抜く)」

を指します。

複雑に入り乱れ幾重にも重なった情報の塊から、不要な不純物を削ぎ落とし、これ以上削りようがないというくらい一番シンプルなカタチに整形する能力であり、

情報をシンプルな"本質"に整形できるから、規則性なく散らばった「情報」という単体では意味を見いだせない「点」と「点」を、簡易化して頭の中に収納できるため、相似点、相違点をパターン化でき、「線」として繋げその関係性を読み解くことができる能力です。

※上記でいう情報は「経験」とも入れ替え可

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『帰納的推論』が得意ともいえます。 

「帰納的推論」とは、
具体的個別の情報や体験を幾つか自身にインプットすることで『一般的な結論』などを導き出す思考能力です。

簡単に言えば少ない経験量でコツを掴む、本質を掴んで再現できる能力です。

たとえば、

何度か同じような経験をしたとして、抽象化能力の弱い人はそれらをグループ化できないのに対し、抽象化に強い人はすぐにグループ化します。

そのため別のジャンルやまったく違うところなどで少し似た事象が発生しても、自分の経験を活用し今後起こり得るパターンが読めたりします。

 

別のたとえでは、

「この業界のプレイヤーについて整理しておいてくれ」と上司から依頼された時に、抽象化能力の弱い人は機能や枝葉の情報を並べチャートを作りがちなのに対し、抽象化が強い人は商売の本当の競争力となっているコアや重要な要素でチャートを作れます。

普通では点にしか見えないものを線として繋げカタチを描けるからそこにある「意味」を読み解けますから同じものを見ても見えるものが違います。

 

インプットの質においても
「抽象化」能力が弱いAさんが本を10冊読書しても「抽象化」が強いBさんが読んだ1冊に敵いません。残念ながらAさんはほとんど身になりません。

 

この「抽象化」はビジネスマンにとって大事な「仮説力」に密接に紐づいています。

「仮説」とは限られた情報の中から要点を抽出/分解して整理して初めて導き出されるものだからです。

「抽象化ができる」ということはたとえば、

お客さんAが◯◯を要求してきている、として
(◯◯は誠意でも条件交渉でもお金でも工数負担でもなんでもいい)

いらない情報をシンプルに削ぎ落として

お客さんAは「要は、◯◯とは言っているが本当は△△が欲しい」という真意を見抜けるということです。

「お客さんAが△△が欲しいというのであれば、こちらが痛みを伴わない××で代替可能なんじゃないか?」と、このように演繹的に物事を考えることも可能になるため代案が次々に浮かびます

「あちらがこちらへ期待しているコト
「敵が使っているカード」
「こちらのリソースから切れるカード」
などなどのようにシンプルに整理整頓できるので処置が早く的確で、勝率は高くなります。

もちろん問題解決力は飛躍します。

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あらゆる問題解決は大体こんなところです。

「交渉を上手くまとめる」能力もここに帰結します。

「難しい提案をお客さんにしたい!」という時になり情報も揃ってない中で不完全な状況のなかで素早く手元にある情報を要件整理をして答えを絞り込むとか、

ユーザーが何を求めているか推測し、我々はこんな機能を実装すべきなんじゃないか?と的確に良い発想できるのもここに関係します。

 

この演繹を起源とした発想力と物事をシンプルに本質化できる能力は合わさってビジネスにおける有効で創造的なアイディアを発想する根源にもなります。

※ビジネスで創造的であるということは芸術の創造性と異なります

ザックリ言うと、

・顧客が本当に何を求めているか本質をピックアップして整理

・競合は何を価値として提供しているのか、その本質を捉え

・まだ満たされていない顧客の求めている要素は何かを考え

・そのニーズを満たせる方法を幾パターンも出す

概要は単純にこういうことだからです。

 

何度も書いていますように、
「抽象化」とは複雑な情報をシンプルに本質だけ抽出わけですが

重要でない些末な情報を捨てるその取捨選択において何を重視すべきか重視すべきでないかの『判断機軸』を見失わずに持っている必要があります。

それでないと何が『枝葉の情報』で何が『幹となる情報』なのか区別がつかなくなります。

 

「ビジネスシーンにおける判断機軸」は比較的シンプル故に、しっかりとしたこの判断機軸さえ己の中で築ければ、鍛えれば誰でもある程度ビジネスの抽象化能力は向上するのではないかと考えます。


ビジネスにおいて

創造的な仕事も、

問題解決の仕事

『判断機軸』の大体は以下です。

「相手が本当は何を言いたいのか」
「相手は何を求めているのか、必要としているのか(顧客、相対する人間、ユーザー問わず)

シンプルにここを整形し、原点として判断機軸にすればそんなに誤った判断をすることは少ないはずです。

 

特にビジネス(商売)は、ほぼ例外なく

相手あって、相手のニーズやウォンツを満たすという目的のためにあるので一番の目的、原点は「相手が何が欲しいのか、必要としているのか」ということであり、そこをシンプルに、シンプルに研ぎ澄まし、些末な情報を削りとってくのがもっとも間違わない判断機軸なのかと。

なんだか私からですと少々眉唾モノですが。笑。

 

判断機軸を常にもって思考するには常に

「目的」を意識することが必要で、

判断機軸を確立し

目的から逆算して考えること

そうすれば「顧客やユーザーにとって何が重要なのか?」のプライオリティも的確につけられるようになります。

 

つまり抽象化能力が強いということは
・パターン化が強い

時に「与えられた前提」「状況従属的思考」に反して複雑な情報からシンプルに本質を見抜ける

・難易度の高い危機的状況の回避に対する問題解決力がある

創造的な何かを作り出す仕事に強い

・難易度の高い提案を求められる営業に強い

・説明が上手い
などの特徴があるということでした。

 

『頭の良さ』にも普段感じる『頭のキレ(形式的操作)』的な生来のスペックだけではなく 『抽象化』という要素があることをどうぞ今後意識してみてくださーい。