デジタル広告領域で残る会社、消える会社【前篇】

今回テーマとして据えるのは【インターネット広告の広告プロダクト】つまり媒体。

(→特定の形式で広告主の広告をWEB上で配信するシステムまたはビジネススキーム)

についての、あくまで一個人の観点からの『狭い特定業界に関わるつぶやき』になるのでテーマ的に興味の対象者が絞られてしまいます。ガッカリさせて済みません。

 

また、当内容について個人の定性的な意見にて「正しい」、「間違っている」等の感想は個々で処理お願いします。

 

他業界のビジネスに応用できるものかも保証はできませんのであしからず。

 

 

私は学業を卒業してからというもの何年にもわたり、ひたすらインターネット広告代理店で『主にはバナーを売る仕事』でオマンマを食べ、家賃を払い、今まで命を繋いできました。

こんなお仕事をこんなに長い間やるなんて夢にも思っていませんでしたが、実際やっておりまして。

媒体側としてお仕事していた時期もあります。


様々な種類の広告プロダクトを顧客目線で仕入れ、広告主さんへ販売するお仕事がメインとなる立場上、様々なトレンドが発生しては消えていき、生まれる様々なジャンルの広告プロダクトビジネスの隆盛を間近で見てきました。


そこから末端戦闘員ながらバカとは分類されない頭脳がある一個人として
それなりに長い期間に現場で色々なトレンド(会社)の隆盛を見てきた目線として
生き残る媒体(会社)

弱くなって消えていく媒体(会社)

とが一体どんな差があるのか、あくまで一要素には過ぎないのですが、根拠なき定性的な感想を持つに至ります。

そして、これはあくまで繰り返しますが定性的な一視点からのお話しとなり、正しいとも間違っているとも論理を押し付ける気はございません。

また、日本の広告代理店を相手とする限定された狭い世界での商習慣のお話しです。


さて。

事業(一企業の一時競争優位性)には当然、『創業期』『成長期』『活用期』そして必ず来る『衰退期』がある訳ですが、それは業界のトレンド(ビジネスチャンス)にも世の流れとしての『創成期』『成長期』『成熟期』『衰退期』があると考えております。トレンドによりその推移期間には一定の差があるものの必ず存在します。


今回メインで展開したいトピックは、

トレンドでいう『成熟期』から『衰退期』における広告プロダクトの生き残り】についてです。

 

創成期

決まって【創成期】には『特定のキーワード』がトレンド感度の高いインフルエンサー/ご意見番、メディアの間で流行し(一人歩き)『●●元年』などとお決まりのように叫ばれます。

そのキーワードに絡んだプロダクトを先駆けて準備して発表した会社がメディアにも取り上げられ注目も浴び、流れの速いこの業界ではすぐにトレンドは【成長期】を迎えます。

 

成長期
よくあるケースでは【成長期】には、先駆けて準備をしトレンドに敏感だったテクノロジーに強いまだ若い会社(動きの速い、官僚化されてない組織)や、有力プロバイダーと提携を組む会社や、または何かしら注目されるだけの話題性のある会社(マーケティング強い)などが業界を先導して販路を拡大し売上を伸ばすケースが多いですね。

それも前年比で指数関数的な成長率。この時期に上手く波に乗れたサーファー(会社)は物凄く儲かる印象です。注目もされる。組織は活気づく。注目も集め株価も上々。


もちろん上記もトレンド(波)次第になりますが、その成長期は長く続くもの、成熟期にも至らない短命のものとあります。


この期間には
・トレンド感度に鈍く動きの遅い代理店もあやかろうと殺到する。
・広告主もトレンドであるならば抑えねば!と本質も分からずキーワード頼りに飛びつく。
・ここの段階で、この業界(トレンド)の中ではココの会社!という風にアイコンとして認知される会社が一定数出てきてシェア率がある程度決まってくる。


この【成長期】のおいて、シェア率を抑える、一気にこの短い期間で勝負をかけ売上を倍々へ伸ばすにはスピードが決め手となります。


条件として考えられるのは、
テクノロジーにある程度強いこと(一定レベルの機動力あるエンジニアを多数抱えておりサービスアップデートのサイクルが早いこと)

すごい勢いで膨大に増える業務に対処する人員の増加対策(柔軟かつスピーディーな採用体制や既存事業からの大胆な資源の移動ができる柔軟性)

 

(⇒つまり既存事業からの人資源の引き上げ=勝負所を見極める経営感覚=取捨選択ができる優先順位の価値基準が確立していること)


尚、新しい人間に一定レベルで業務をこなしてもらう最低限の教育体制を有していること、が条件になる気がしています。

 

この期間には同時にトレンドにあやかろうと色んな企業が広告プロダクトを発表していく。また、そうするうちに当然の流れとして需要に対して供給が増えすぎるかたちになります。

 

成熟期
そして各社の広告プロダクトのアップデイトによる変遷の先に『当ジャンルにおけるプロダクトとしてのあるべきかたち』は各社ある程度一致していき、機能や性能を向上させることが顧客にとっての価値向上へと繋がらなくなってきます

つまり顧客に魅力的なイノベーションは消え、アップデイト内容が陳腐化され、決してワクワクのしない本質とは関係のない魅力の少ない、改善の幅が狭いどうでもいいものとなってきて差別化には寄与しない。

そこまでくるとライフサイクルの成熟を迎える。またこのようなプロダクトが増えてきた段階でトレンドも成熟している。そうなると価値があるのはもはや"より低価格"であるということでしかバリューは出せない。

トレンドによっては成熟期を迎える前に立ち消えるものもある。(多くは複雑かつ取り扱いが難易等のなため)


市場の成長率が伸び続ける限りにおいては、トップシェアのクラスにいるサービスは売上を伸ばし続ける一方でその下のレイヤーのプレイヤーになるとシェアのパイはどんどん食われヒーヒー言うか、または市場成長が止まったのであればシェアを占めていたプレイヤーは後続の営業力でリードする企業にどんどんシェアを奪われることとなるのが世のセオリーとなります。

需要に対して供給が多く、皆が似通ったサービス(コンセプト)を打ち出すようになるとプレイヤーはやはり儲からなくなる。成長率は鈍化し、以前とは異なり売上に対する手間が増え、そうなると市場参入を検討するにあたっての魅力はまったく薄れる。

 

市場成長(需要)が止まったなら暫くすると【衰退期】を迎えます。


いずれにせよ、トレンドは重要。

有能でテクノロジーに自信がある組織でもトレンド(いわば波)と掛け離れたところで頑張っても指数関数的に売上を拡大して一躍有名企業に躍り出ることは難しいと考えます。

色々ビジネスチャンスを探って、様々なビジネスチャンスに色々先駆けて、たまたま市場ができる前に事業の準備を始めていた企業がドカン!と伸びる印象。

 

私が社会人になった頃からの思い出話ですが、

丁度世間的には『スマホ』が出回り始め世の中に普及しかけてるまさにそんな時代。

 

社会人一年目の前半ではいわゆる『ガラケー』の広告を売っていたのですが1年目の後半ではインターネット広告業界では『スマホの広告』というものがビジネスチャンスとして注目され始めており、その胎動にアンテナ感度の高い広告代理店や広告主など業界人が興味を示し始めトレンドを追いかけ始めてきた頃となります。

スマホ広告の中でも最も先に進化して注目を集めていたのが『スマホのアドネットワーク』


この隆盛期は業界が面白かった。市場としての成長もめまぐるしく、業界も一気に活性化して各社ビジネスチャンスにあやかろうと雨後の竹の子のようにプロダクトを発表し、各社が競合の動きに目を光らせ、どこがシェアを獲るか戦国時代の様相で、各広告プロダクト自体の動きにも熱い業界の視線が送られていた。


中長期的戦略を立てて組織的な動きをしなくとも代理店として比較的早く市場に乗り出して販売に取り組んだ自分自身も、実力は足りないながら一定の恩恵を受けることができた。懐かしい。

 

そこから、『DSP/RTB』であったり『カスタムリターゲティング』
『動画広告』『DMPやデータ事業』最近では『ネイティブアド』と色んな流行り廃りを見てきました。トレンド自体は他にも色々ありましたね。(完全に廃ったものは少ないけど)


なんせ流れが速い。

それは『追いきれない!』という嘆きではなくて、事業参入という観点で見たときに盛衰のサイクルが早すぎて相当上手く先の先、2手先、3手先を見据えたコンセプトで流れを見極め、絶妙なタイミングで波に乗らないとこの荒ぶる速い波には乗れないと感じるからです。


また一定期間、競合から一歩抜きんでるには他プレイヤーより何かしらの競争優位性を見出したということであると思うのですが、その優位性もテクノロジーに根差したものであれば「コモディティ化」は早く、すぐに消え失せる。

この業界での勝負で一定期間競争優位性として価値を生むものはアナログなものであることが多い印象です。


つまり先発でも後発でも商品の本質である基本性能部分が変わらない以上、先発優位性はアナログ時代と比べれば今の時代は後発優位とまでは言わないが後発劣性ではない。
競争優位性として先発が価値を見いだせる、競争力としてより長命のものはたとえば『クリエイティブ観点のノウハウ』であったり『メディアとの人同士の個別な信頼関係』であったり『贔屓に応援してくれる信頼を積み重ねた販路の方々』であったり『蓄積してきたデータ(実用的に活用できるものに限り)』であったり。

完全にテクノロジー勝負では美味しい時期というのは限られる印象です。

 

仮に<アドテクの有無>が勝負の勘所を一定に占めるレース(→もはやデジタル広告領域の新規プロダクトで凌ぎを削るアリーナではそもそも殆んどだが…)においては開発力の弱い組織は成長期レースの参加権すら貰えないかもしれない。


そんな広告プロダクトの市場においてアフィリエイト市場は少し特殊かもしれない。

アフィリエイトは今も昔も変わらぬ方程式として、アドテクは程々に、人力(アナログ)な営業力がモノをいう市場。

競争力は、個の人と人との繋がりで確保しているメディア(掲載面)だったりする訳で、一気にアドテクノロジーでもってオセロの盤面の様に形勢がひっくり返されづらいゲームのため、市場のシェア率もある程度一定で、息が長く、そう急に競合とのシェア率をひっくり返すような打ち手も少ない。

まさに成熟期だが、市場がある程度完成している現在、一定の営業力を有し、やることやれば市場のシェア率もある程度は守れる。そう思えばアフィリエイト市場自体、トレンドなんてものでは言い表せないか。まぁこの話はいいや


アフィリエイトみたくある種特異な市場でない限り、デジタル広告領域でビジネスチャンスに事業として投資するなら、あくまで個人的な意見だが、

たまたま波に乗れたとして一定の成功を見たら、儲けられるタイミングでちゃんと儲けて、トレンドの流れが成熟期を迎えたタイミングであったりで利益を十分に搾り取ったらバイアウトするのが賢明じゃないだろうかとさえ思う。(高値で売れるタイミングで)


前置きが長くなって申し訳ない。


本題はこれからなのだが、前置きがあまりにながくなったので次回の更新で本題に触れたいと思う。


(『少子化』の続きはまたその次に!汗)